オプショントレードにおける建玉操作の事例研究1(最終話)|りゅう先生講義録17

2019年9月9日に新規に建てたショートストラングルのバーチャポジ、何度も対策をすることになり、最後には証拠金まで設定限界を越え、さらにはデルタまでもがオーバーリスク状態になってしまいました。

もはやこのポジション、このまま維持していくのは困難な状況になっていると言わざるを得ません。

2019年9月30日ザラバ中、期中損益がSQ値が20500~22250で決まるときの最大利益と17円しか違わないまでプラスになり、ポジションを維持するための証拠金もほぼ限界に達していたので、この先何かが起きた場合、その対策するための証拠金がないということもあり、SQ決済をせず、この時点で決済することにしました。

図17 ポジション決済時の内容

ポジション決済時の利益、プラス17万4000円。ここからこの決済時までの確定損益、マイナス11万9000円を引くと、実現利益は、5万5000円となりました。

何度もヘッジ対策をすることになり、その必要経費が意外と多くかかってしまったので、あまり利益が伸びませんでしたが、マイナス終わりにはならずにすみました。

この決済を判断する時点ではデルタなどの数値もリスク許容範囲に収まっていたので、さらにポジションを維持するために、何か問題が起きた時の対処用に証拠金を捻出するために、玉減らしたら、証拠金がどうなるかとか、あれこれやっていたのですが、玉を減らしても、その後、玉を追加すれば、軽く証拠金が許容範囲を超えてしまうので、ポジションの継続を断念したという理由もあります。

この決済した時点では、SQは日経平均22000円以下で決まると私は思っていましたので(2019年10月限SQ値は、21842.63円で決まり、この読みは当たっていた)、22250円以上でSQが決まると思っているのならば、このまま利益を伸ばすために、決済しなかったかもしれません。

しかし、アップサイドはそうそう上まではないだろうという見立てと、一方、ダウンサイドでは満期時の最大損失がマイナス6万円になる可能性があり、しかも、その時点ですでにマイナス12万円ほどの確定損失を出していたので、それと合わせると、このトレードの最大損失が18万円ほどになってしまい、わずかに17000円ほどの利益を上積みするためだけに、そのマイナス18万円ほどとなるリスクを取るのかと言われれば、私はそんなリスクは取りたくありませんので、そういう判断もあり、期中決済となりました。

本来であれば、SQ決済でよかったのですが、バーチャはリアルトレードのつもりで自分としてはトレードしているので、このバーチャトレードの間には大きな確定損を出していることもあり、その状態からプラスで終わらせることができる状態になったのであれば、欲張らずにプラスのうちに終わらせておくのもありだという判断でした。

この先の長い相場人生を考えるのであれば、資金を大きく減らさないことが大前提なので、プラスで終わらせられるのなら、何の問題もないと考えていました。

実際にリアルでこのバーチャと同じトレードをしていたのならば、きっと今回と同じ行動を取ったと思います。私のトレード心得の1つに「いかに損しないかを考える」というのがあり、トレードにおいて判断に迷ったときにはこれに従うことにしています。

しかし、バーチャでの練習は自分がどこまでのリスクを取れるかの確認の意味もありますので、いちおう決済はしたことにしましたが、その後もこのバーチャポジの考察はSQ時まで続けていました。つまり、SQで決済した場合、どのようになるのかを考察していたわけです。

次の図18はこのポジションを決済以降もホールドした場合、どのようにリスク指標が推移するのかを考察したものです。

図18 リスク指標の推移

これを見ると、決済後もデルタやガンマが許容範囲にほぼ収まっていることが分かります。

さらに、SQ前日までの期中損益を見ると、次の図19の通りです。

図19 ポジション決済後からSQまでの期中損益推移

これをみると、期中決済せずそのままポジションをSQ決済に持ち込んでも問題なかったことが分かります。

ただ、それはたまたま想定外のことが起きなかっただけで、もし、何か起きた時、証拠金的にも厳しい中、どのように対応できたかはよく分かりません。

証拠金がそれ以上使えない状況では、何かあってもその対策ができませんので、もし、対策するとしたら、ポジションの玉をいくつか決済して証拠金を増やすなどの必要がありますが、わずか20円ほどの利益を上積みするために、そこまでのリスクをリアルトレードでやるのかというと、おそらく、私はしないでしょう。

バーチャと言えども、リアルと同じようにトレードするのが基本だと思っていましたので、SQまで持ち込んだときの結果をみても、SQ決済をしなかった判断は自分的には妥当だったと考えています。

さらには、ポジションを決済したことにより、プラスでトレードを終わらせることができただけでなく、拘束されていた証拠金が解放され、かつ、プラスでトレードが終わったことにより、その利益分、証拠金が増えたわけなので、その時点からSQまでのトレードを新規に始めようと思えば、始められたわけです。

実践においては、SQ決済を目指しつつも、相場に長く生き残るためにその時点で自分が取れる最善の方法とは何かを常に考えながら、総合的なレード判断が求められると思います。

私の場合、トレードも仕事の1つであり、毎月プラスで回さないと、生活が厳しいという現実がありますので、なおさら、かなり保守的な考えで日々トレードを行っているところです。もっと資金に余裕ができれば、取れるリスクも大きくしていけますので、それまではひたすら我慢のトレードをし続けるしかないと思っています。

私が行ったシミュレーションによるトレード練習に関しては、後日、次のようなコメントをりゅう先生から頂きました。

「どのリスクパラメータをどれくらい持ってれば損益としてどれくらい跳ねてくる、とか事前にパラメータから予測した損益とどれくらいずれるのはなぜか?なんてことを考えて、普通の状態であればこういう動きに対してはこういう変化が起こるんだ。ということを掴むためにシミュレーションするんです。

実戦ではこれぐらい儲かったからクローズするからシミュレーション閉じるって言われると、なんのためにシミュレーションやってんのか、私には理解できなくなります。

オプションをやらない理由は百も千もありますが、やる理由なんてやりたいから、しかないんです。
他で十分稼げているならわざわざやらなくてもいいものを、それでもやりたいと思うのであれば、自分がどう思うのかはそれほど大事なことじゃないんじゃないかと、私は思います。」

私とりゅう先生とはネット上で偶然出会っただけの間柄で、リアルにお会いしたことはありません。それにも関わらず、オプショントレードを学びたいという見ず知らずの私の我儘なお願いに真摯に向き合って頂き、なおかつ、厳しくいろいろとご指導を頂けるのは、独学で今までトレードを学んで来た私には大変嬉しくもあり、師を持つ喜びに震えつつも(私が勝手に師と思っているだけだけど)、同時に、いい加減なトレードをすると、何を言われるか分からないという怖さもあります。

今回のバーチャトレードを一通り終えたとき、昔、大学院時代に偉大なる師を持つ喜びを味わったことを思い出すと同時に、そのような師のもとで研究・教育活動をする怖さも感じたのをただただ思い出すばかりでした。

(完)